EVMチェーンを一時停止させた話題の「碑文」とは?

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アロハ!ニナ@_ninahaus_です。

ここ最近はCosmosで無重力浮遊を楽しんでいます。
ところが、パラレルワールド(aka別クラスタ)では「碑文」なるものが大人気だとか…?

「碑文」の急増が原因でチェーン停止に至ったArbitrum

ニナ



守備範囲外のことで何も分かっていなかったところ、海外ユーザーのcygaar(@0xCygaar)さんがXスレッドで解説してくださっているのを見つけました! 私のような碑文何ソレ仲間のため、ゆるく翻訳しました。

そもそも碑文って何やねん

英語では「Inscriptions」です。

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なんとなく「碑文」てしっくりこないので、ここからは「インスクリプション」と表記します。

ニナ

cygaarさんのスレッド翻訳

はじめに

インスクリプションがここ数日間で複数のチェーンをダウンさせ、ガスの急上昇を引き起こしています。
しかし、実際にその状況を理解している人はほとんどいません。そこで、インスクリプションの簡単な説明をします。
なぜいたるところでスパムされているのか、そしてどのように機能するのかについてのスレッドです🧵

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インスクリプション(碑文)の概要

「インスクリプション(Inscriptions)」という概念は、ビットコイン(BTC)チェーンの「オーディナル(Ordinals)」から始まりました。オーディナルは、データをチェーン上に直接刻むことを可能にし、テキスト、画像、動画などを含めることができます。BTCチェーンはスマートコントラクトをサポートしていないため、これがNFTや他のトークンをサポートする唯一の方法です。

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EVMチェーンへの転用

その後、人々はイーサリアム(ETH)チェーン、他のEVMチェーンでも同じことができることに気付きました。

個々のSATにデータを記入する代わりに、EVMではトランザクションのcalldataにデータを記入します。calldataは、トランザクションで送信できる任意のデータで、主にスマートコントラクトに入力を渡す際に使用されます。また、ロールアップデータにも使用されます。calldataは読み取り専用であり、スマートコントラクトのstateにデータを格納しておく場合と比べて、安価に利用できます。

では、EVMチェーンで人々は何を刻印しているのでしょう?

現時点では、主にBRC-20タイプのトークンを刻印しています。

BRC-20トークンとは、トークンデータがスマートコントラクトではなく、calldata(JSON形式)に保存されているトークンです。calldataにはトークンID、発行数量、および操作が含まれています。

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calldataは特定のフォーマットに従う必要があり、これによって(x)RC-20トークンとして認定されます。xRC-20トークンの興味深い点は、そのロジックがすべてオンチェーン上に存在しないことです。通常、ERC20トークンでは、ルールはスマートコントラクトによって強制されますが、ここではすべてのロジックがオフチェーンで処理されます。

従って、オフチェーンのインデクサには、インスクリプショントークンのトランザクションが何をしているのかを解釈する責任があります。そのトークンが存在し、ミントできるか(過度にミントされていないか)も検証する必要があります。

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例:1000枚ミント(発行)されたASC-20トークン$BEEG



トークンのミント時には、「ミント」操作と、ミントされる量を含むcalldataを使用し、自分自身にトランザクションを送信します。トークンの転送も同様で、その場合は「転送」操作を利用します。一部のプロトコルでは、これに関連しイベントを発生させます。

現在、かなりの食い違いがあります。

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インスクリプションのメリットとデメリット

第一のメリットは、すべてが完全にオンチェーンであることです。
xRC-20トランザクションとNFTのメタデータはすべてチェーン上に保存され、誰でも読むことができます。チェーンさえあれ良いのです。 第二のメリットは、運用が非常に安価であることです。
スマートコントラクトはロジックを実行し、オンチェーンでデータを格納する必要があります。インスクリプションはオンチェーンにcalldataを送信するだけで済むため、実行コストがはるかに安価です。

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大きなデメリットは、オフチェーンのインデクサに大きく依存することです。
理論的には誰もがトークンを再現できますが、それはインデクサが同じプロトコルのルールに従っていることを前提としています。一方、EVMチェーンはこれらのルールに沿うことを強制します。 また、インスクリプションは一歩時代遅れな感じがします。
EVMはスマートコントラクトのロジックをサポートするために設計されましたが、インスクリプションはすべての計算処理をオフチェーンに移動させます。 より多くの断片化が生じ、インデクサーへの信頼が必要とされます。また、基本的にインスクリプションとのコンポーザビリティはほぼゼロです。

インスクリプションがスパムされる理由は?

おそらく、他チェーンでBRC-20トークンの成功を再現しようとする欲求によるものでしょう。しかしながら、これらの取引の多くは、同じユーザーまたはボットが何度も小さな取引を実行しスパムしているだけです。

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スマートコントラクトのトランザクション実行に比べて非常に安価であるため、大量送信が可能なのです。これにより、Arbitrumが停止され、zkSyncやAvalancheなど他のチェーンでもユーザーエクスペリエンスが低下しています。 この熱狂がいつ終わるかはまだ分かりません。 @hildobby__さんが、様々なチェーンで起こっているすべてのインスクリプションアクティビティをまとめた素晴らしいダッシュボードを作成してくれました。EVMチェーンで起こっているインスクリプションアクティビティの概要を知りたい方は、ぜひご覧いただくことを強くお勧めします。

スレッドへの反応

@blockpatron

大きな問題は、状態の更新がオフチェーンのインデクサを経由する必要があること。仮に誰かがトークンを二重に支払ったとしたら…そのことを知っているのはオフチェーンのインデクサだけ(遡及的に)。二重支払いはどう解決されるのだろう?誰かが損をするのだろうか?本当に愚かな設計だ。

@CryptoCowboyOG

これって3年前にKusamaで起こったことだよね。

@chopper__dad

これは何としても止めないと。

@snieking

「すべてがオンチェーンである」のに、オフチェーンのインデクサに依存しなければならないの? 完全に合意がとれないので、異なる2つのインデクサが異なる結果に至る可能性があるのでは?



感想

インスクリプションが何かは把握しましたが、技術的な優位点やユーザーに提供される嬉しさといったものはよく見えてきませんでした。新しいことができるから投機的にそれで遊んでいるという感じでしょうか?

教えて!碑文に強いクリプトマン!

ニナ